古谷ツネヒラ著『フジテレビデモに行ってみた!』が酷すぎて眩暈がした(1)

2011年8月に実施されたフジテレビに対する反韓流デモ(以下フジデモ)やNHK、尖閣等数々の保守系デモに参加した、(自称)「若手保守の代表」古谷ツネヒラの著書。
数ページめくっただけで随所に香ばしさが漂う逸品だったので、思わず衝動買いしてしまった。
本棚に置いておくのは恥ずかしいトンデモ本なので、読み終わったらすぐさま古本屋に売りに行こうと思う。




第2章ではフジデモが起こる「予兆」としての浅田真央報道や「韓流ブームの捏造」に言及しているが、浅田真央の意図的な映像のカットだのパネルがどうだのといった指摘は「お前がそう思うんならそうなんだろうな」レベルの難癖に過ぎず、客観的な説得力を有する内容ではあり得ない。
「韓流ブームの捏造」は2ちゃんねらーの黒沢某(仮名)に寄る証言を用い、2ちゃんねるの有志による「レンタルビデオ店のPOSからレンタル状況を秘密裏に抜いて」(おいおい・・・)「24」や「プリズン・ブレイク」と韓流ドラマを比較して後者が圧倒的に人気が無かった一事のみを以て論拠とするお粗末さ。2ちゃんねるの情報、それも又聞きを恰も事実のように盲信する浅薄さも去る事ながら、仮にそのデータが事実であったとしても分母が一店舗のレンタル状況ではサンプルケースがあまりに少なすぎる。
因みに、この「フジテレビデモに行ってみた!」は市内の大型書店で買い求めたものだが、韓流ドラマやK−POP関連の雑誌がざっと数えただけでも20種類近くあって驚いたのを覚えている。利益追求を第一とする出版社が儲けにならない雑誌を発刊し続ける理由は無い。「爆発的な韓流ブーム」は流石に言い過ぎだろうが、「捏造」しているのは果たしてマスコミなのか、それとも「韓流ブーム」を快く思わない人間の方なのだろうか。
余談だが、この項では「冬ソナ」を観るような人は「教養の無い中年女性や高齢者が刹那的に楽しむもの」だの、ぺ・ヨンジュン氏を「ぼけーっとした単なる眼鏡の男」を言い表すなど、本論とは無関係な人格攻撃や品性に欠ける中傷が目に付く。この項に限らず、本書にはこういった品格を疑う表現があちこちに散見されるが、これが「国想う」古谷の芸風なのだろう。

次項のフジテレビ「韓日戦表記事件」と「キムチ鍋事件」でも
日本のマスコミが日本と韓国のサッカー親善試合を「韓日戦」と表記するとはけしからん!(意訳)という、「お前がそう(ry」などうでも良い人にはどうでも良いお話。

この件に関しては「法華狼の日記」さんが興味深い指摘をされている。



スポーツ試合の「韓日戦」表記について一つだけ

http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20110808/1312814761


まあ、古谷が指摘するように国際試合で「〇日戦」と表記する例はあまり見聞きした事は無い。
個人的には激怒するほどの事でも無いと思うのだが、違和感を感じるのは確かではある。



キムチ鍋がどうのこうのは馬鹿馬鹿しすぎて言及する気も失せるが、バラエティ番組「笑っていいとも」のアンケートにてキムチ鍋が1位を取ったのは不自然だ、捏造だ、電通の陰謀だ!というネットユーザーの妄想を拾ってきてただ垂れ流すだけ。韓流ブームの時と違って一応の論拠すら示さない体たらくである。
後日、このアンケートに納得いかないチャンネル桜が新大久保で同じアンケートを実施しているのだが、そこでも1位はキムチ鍋だったというオチがついている。



【100人インタビュー】あなたが好きな鍋は?[桜H23/3/7]


http://www.nicovideo.jp/watch/1299484452



第7章「デモ参加者の証言」ではチャンネル桜のモンスターボランティアこと水島聡代表取締役と、前述の動画でキムチ鍋が1位になった結果に不満を隠そうともせず、「日本人の味覚が劣化している」と真顔で言い放ち視聴者を呆れさせた井尻千男拓殖大学名誉教授との対談が記されているが、短い内容ながら突っ込みどころの多いやり取りである。これに関しては後日。


http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20110808/1312814761#tb